2019年10月12日、台風19号の大雨により多摩川は氾濫危険水位を超えるような高さまで増水。午後には、あちこちのマンホールから泥水があふれだし、あっという間に道路が川に! この日の夜間、未曽有の水害が引き起こされました。原因は、水位を増した多摩川から排水樋管への逆流によるものであることを川崎市が発表。
排水樋管には、多摩川に流れ込むところに水門(樋門)が設置されています。この水門(樋門)については、国土交通省の通達でも、「水門の操作は、洪水による(河川からの)逆流を防止することを目的とする」と明記されています。ところが、この管理に当たる川崎市は、山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根の5か所の樋門を、閉鎖しない判断をしたのです。対岸の東京都側で、こんな対応をした自治体はありません。その結果、12日夕刻から13日未明にかけて、山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根の5地域で深刻な浸水被害が発生しました。
この台風では、他に市内3地域(三沢川、平瀬川と多摩川の合流点、川崎区の河港水門からの溢水)で深刻な浸水被害が発生し、川崎市全体では死亡1名、家屋の全壊33、半壊948、床上浸水1,258、床下浸水411という大規模の被災となりました。
(注)被害の内訳は、罹災証明発行件数に基づく認定数。
*罹災証明が出ていないマンションの電源喪失など、自動車・倉庫の水没、工場の工作機械や製品の水没などの経済被害は反映されていません。
*市民ミュージアムなど、河川由来ではない大量の雨水による水没事例も、被害件数に含まれています。
山王排水樋門:こちらは、5箇所の樋門の中で唯一、深夜になってから閉鎖が試みられた。接続する排水ポンプを守るためと言う理由だったが、流入物の影響で閉じる事ができず、5地域中最大規模の世帯が被害を受けた。ここの逆流は武蔵小杉駅周辺にまで達した。
宮内排水樋門:ここの樋門は堤防の内側と外側の二重にゲートがあるタイプで、写真左側は堤防の外のゲート、後方にあるマンホール(写真右側)は蓋が飛び、水が引く時に周囲の漂流物が一気に流れ込んだ。周辺では、亀や、海の魚であるスズキも確認された。
2021年3月9日横浜地方裁判所川崎支部に台風19号多摩川水害の被災者が損害賠償を川崎市に求め提訴しました。この動画は、被害の実態から原告団の結成までをコンパクトにまとめたものです。
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2021年3月に行われた、台風19号多摩川水害訴訟の訴状について学習会を行いました。/2021年3月22日・28日
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・災害発生直後の多摩川流域・空撮写真
2019年台風19号通過後に実施された、国土地理院の空撮写真を川崎市域部分についてまとめました。
*PDFの画像は、二次利用しないでください。オリジナルは国土地理院の公式サイトにあります。
・河川の増水が原因で起こる災害
堤防の決壊から都市の排水機能に起因するものまで、河川の増水が引き起こす災害を解説します。
(PDF・準備中)
・多摩川の水害の歴史
多摩川の両岸に同じ地名があるのは「暴れ川」として何度も川筋が変わった名残なのです。
(PDF・準備中)